生涯独身でお子様がいないK様は、ご両親はすでに亡くなっており、ご兄弟もいなかったことから相続人がおりませんでした。 そこで親戚の妻子ある成人男性を養子にいたしました。養子というと幼少の子供と縁組するイメージがありますが、成人した方を養子にすることは一向にかまいません。ただし、養子となる方が養親より年長者であってはいけないなどいくつかのルールは存在します。
その後、K様と養子との養親子関係は良好に続いていたのですが、不幸にも養子にした男性がK様より先にお亡くなりになってしましました。K様が養子を迎えた目的はご自分の財産の承継だったのですが、結局はまた相続人が全くいない状態になってしまいました。養子縁組前にすでに生まれていた養子の子には相続権が無いからです。養親と養子の間は「血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる」と規定されており、相続人が先に亡くなってしまった場合、その相続人の子供が代襲相続人となるとする規定も当然適用されるのですが、この規定が適用されるのは養子縁組が成立した日からです。つまりK様は妻子ある成人男性を養子にしたわけですから、養子の子は養子縁組前にすでに生まれていた子になるわけです。
あることがきっかけで、養子の子に相続権が無いことが分かったため、K様は養子の子と養子縁組をいたしましたが、代襲相続があるものだと思い込んで何もしないでいたら手遅れになってしまうところでした。